あいのかたち、しあわせのかたちは人それぞれなのだ。須久ねるこさんの作品に涙。
今日はずっと感想を書きたかった作品を。講談社ということです。マンガボックスで連載されてた作品だとか。
こちらの作品はBLコミックスを探している人にはなかなかHITしないかもしれませんが、ぜひ読んでもらいたいです。切ないけれど最後は本当に温かい気持になります。
愛の形や幸せの形ってほんと他人にはわからないですよね。他の人のいう「幸せ」っていったいなんなのか・・・すごく考えさせられた作品でした。
まばたきのあいだ KCデラックス 週刊少年マガジン
須久ねるこ/講談社 (2014/6/9)
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「俺、結婚するわ」幼なじみのハル君から送られてきたメールで終わった、秀(ヒデ)の初恋。ハル君を忘れるためだけに日々を過ごして数年。いつも通り、惰性の1日が終わるはずだった。あの日、偶然、再会するまでは……。決して報われない純粋すぎる恋の話。
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幼なじみ エロ マッタクナイヨ
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主な登場人物
ハル:結婚していたが奥さんが事故死。男手ひとつで娘を育てている。
秀 :ハルのことがずっと好きだった。夢は保父さんだったが会社で働いている。
まばたきのあいだの感想は以下より。感想にはネタバレ含みますのでご注意を。
まばたきのあいだ・みどころと好きなポイント
話がゆったりしたところが私は好きです。ややコマが大きく、1Pで動きが少ないというのがちょっと気にはなる点ではありますが、ごちゃごちゃしていない分読みやすいです。
絵柄は好みではない(細かく描きこんであるのが実は好み。)のですが、この作品はごちゃごちゃ描かれていないところがまたいいのではいのかなと思います。
こちら本当にBL誌で連載でなかったというのが驚きなのですがどういうジャンルで出されたのか私はよくわかりません。
というのも、この作品を読んだのが2016年に入ってからなので(;´・ω・)
もともとジェットコースターのような作品よりはゆったり心理描写が描かれている静かなストーリーが好みだというのもあって私にはとても合いました。
秀の初恋の相手であるハルに再会し、また恋心が再燃してしまうのですよね。
そんなハルは結婚して、奥さんが事故死。子供を一人で育てるということを知り、秀は何とか力になりたいと思います。
ここでハルと一緒にいることに口実を見つけてあれこれする秀がね。。。この気持ちが凄くよくわかるなぁと・・・。
私も口実がないと会いに行けないタイプなのでね・・・。
秀は一緒にいたい、力になりたいと思う一方で自分には望みがないのだと打ちのめされて落ち込むこともあるのですがこのあたりの揺れがすごく切なくて。もちろん秀は秀で悩むのです。気づいていたけれど、気づかないようにしていた、見ない様にしていた事・・・。けん制するかのように、時々奥さんの名前を出すのです。
ずるいといえばずるいですよね。ちょっと垣間見えた秀の気持ちをなかったかのように普通に接するハルも。
それでもこれも実にリアルな人間の心理ではないのかなぁと読みながら思ったりもしたんです。「ずるい」「酷い」と読みながら感情が沸き起こってくるかもしれません。それでも・・・やはり自分に特別な感情がなくても仲良くしたい人っていませんか?
その人とこれから先も付き合っていこうとするならば・・・やはり「なかった事」にして普通にしているのが一番いい。私でもそう思ってしまうかもしれません。
とにかく2人の心理描写がより現実の描写に近いのではないかなぁ~と思ったりもしたんですよね。
浅い・深いでストーリーを語るのならば・・・ドロドロとしているわけでもないしBL誌でもなかったのでさほど深いところまではいっていない気もします。それでもわかる、共感する部分が多い作品だと思うのです。
手に入りそうもない恋を選んでいる
途中で秀の元カレに出くわします。この黒田くん(隼)が実はいいやつすぎてね・・・。
そんな隼を見て秀は思うわけです。
僕は 僕を愛してくれる人を捨てて
手に入りそうもない恋を選んでいる
人間、愛してくれる人と結ばれる方が幸せになれると言っている人が居ますよね。確かにそう思う部分もある。
それでもやはり求めてしまうのが人間というもの・・・。
どんなにダメだとわかってても近くにいてしまうと、「手に入りそうにもない」そう思いながら「期待」もしてしまうんです。。。
それが正しい選択だとか、間違った選択かなんてわからない。それでもそれでいいんだと言ってほしいという秀の心情が痛いほどわかってしまうのです。
誰かに「それでいい」とか「それはダメだ」とか言われてても結局は自分の中で答えは決まっているからあまり意味はないのですがやはり自分が迷っているときは後押ししてほしいのですよね。こういう心理描写がとてもうまいなぁと私は思いました。
ハルのけん制
もうひとつの見どころですね・・。ハルは奥さんを事故で失い、まだ吹っ切れていないのですよね。そんなときに秀のある行動できっと秀の気持ちを悟ったのだと思います。(後々にもうずいぶん前からそうなのかも?という気持ちはあったと描かれています。)
そんな秀をけん制するかのように・・・ハルは奥さんの写真を見せるのです。
こういうのはずるいですよね・・・。自分にはまだ奥さんがいる、だからこれ以上は寄ってくるなよ?そんな風にも取れますよね。
その写真を見せられた秀は、元カレのところへ訪ねて行ってしまいます。
ここら辺はどうなのでしょうね。私はこういうのは女性がよくとる行動だなぁと思ったりもするのです。
辛くなると元カレとかによく連絡したり(;'∀')
だから共感というかわかるよ・・・・となるのですが男性はどうなのでしょうね。「甘えたい」「優しくされたい」と思っちゃうのでしょうか。
しかも自分を愛してくれた人のところへ行く秀・・・。自分にはもうハルが心の中にいるのにこういう秀の行動はこれまた黒田を傷つけやしないだろうか・・・
色々な感情がこのコミックスを読みながら沸き起こってきました。
それでもこの秀の気持ちがね・・・。
ずるいというのは秀も百も承知なのです。黒田に甘える自分に嫌気がさしながら、突き放してくれたら嫌いになってくれたら自分も楽だっただろうに・・・と。それでも黒田は突き放さないと秀自身もわかってたはず。だからこそ思うのですよね。
この人だけに目を向けていられたら
どれほど・・・・・と。
ハルの気持ち
この作品がね・・・私がすきだなぁと思うのは色々なキャラの視点で感情移入ができてしまうところです。
ハルも一見そりゃないよ・・・・と思うパターンかと思いきや、本当に奥さんのことが大好きだったからそんなにすぐには忘れられないのですよね。
「奥さんも秀も大切にしたいと思うのに」これは決して嘘じゃない。
人に頼ろうとしなかったのも、奥さんとの約束を果たそうとしたからだと娘ちゃんを一人で育てるという約束を。。。
それでもハルがどんだけずるい言い方をしたとしても「まだ」という言葉を使ったハルを私は責められないなぁと。
好きになれないかもしれない、答えられないかもしれない、でもなんだかこれがハルの精一杯なんだよねと。
秀は優しくフラれただけだと自分を納得させるのです。友達でいさせて、それ以上は何も望みたくないと言う秀。悲しいですよね・・・ノンケのハルに望みは持ってはいけない、だけれど近くにはいたいそんな気持ちが交錯する。私ならつらくても逃げちゃう(´;ω;`)
ハルの奥さんへの気持ちのシーンは思わずぐっときてしまいました。亡くなった奥さんはハルが新しく恋をしようがきっと怒らない。だけれど自分が裏切りのように感じてしまうのだと。。。なくなってまだ1年・・・・この設定はもうしばらくたってからの方がよかったんじゃなかろうか?と思うほどハルの気持ちもわかってしまいました。
大切な人だと気が付くとき
切ないつらい展開が続いたのですが、なんだかくっつくときはわりとあっさりだったように思います。
これも秀がまた大切なひとを失いたくないと思うような出来事が起こったのですよね。。。
もう少しこういうのがなくても自覚してほしかったなぁ~なんて欲を言えば思うけれど、結局のところ近すぎてこういうのがなければ自分の気持ちが定まらなかったりするのだろうなぁと。最後は秀が思ったよりも男らしく受け入れてて驚きました。
描き下ろし
私はこの追加ページが凄く好きです。ミナちゃん視点のストーリーになってます。
ハルの理想の家族…素敵ですね。あいのかたち、しあわせのかたち。。。他の人がどう思おうと自分たちが愛し愛され幸せであるというのがとても重要なのだと本当にそう思います。
読後感はこのミナちゃん視点のストーリーが挿入されたことによってぐんと良くなりました。
そして満足度も。
Conclusion
ストーリーはややマンガというよりは軽い小説を読んでいるような気になるのですが、(あまり動きがないのでね・・・)私はこれで良かったと思います。
1Pに一つのセリフ・・・わりと印象に残ります。
2巻あるのですが、どうなのかな、コマ割りも大きくモノローグ多めなのでBLコミックスの1冊分のストーリーなのかなぁと思いました。
もし一読して何も印象に残らなかった方はもう一度ゆっくり読み返してほしいです。表情、セリフもう一度ゆっくりと・・・。
冒頭にも書いたのですが本当にこれはBL誌で連載していなかったというのがΣ( ̄□ ̄|||)でした。BLというよりももう「家族」としてのストーリーになったのかな・・・。面白かったです。
ちなみに・・・絵柄がきれい・エロあり・思いっきりBL色強い作品をお探しの人にはきっと合わないと思います(;'∀')
絵柄は・・・・味はあるけど・・・な感じです。エロないです。BL色強いかどうか、、、まぁBLですがBがLするというのよりは本当に家族としてのストーリーかなと。
ゆっくり心理状況が描かれた作品が好み!という人はぜひ読んでみてください★
まばたきのあいだ/電子書籍情報
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